きのくに子どもの村学園が最高だった

映画「夢見る小学校」で一躍有名になった
和歌山にある「きのくに子どもの村学園」を訪問してきました。

見学を希望しても2か月以上待ちになることもしばしば。
僕たちが開校した「ぐるりの学校」の行く末のヒントを探し、子供たちの様子を見に行きました。

結論、「最高」
この一言に尽きます。

この学校では先生とは呼ばず、大人と呼んでいるため、以下「大人」と表します。
この学園に入学を希望されている方々の一助となればと思いますので、興味のある方は見てください。

きのくに子どもの村学園とは?

1992年に、堀真一郎さんが開校した小学校、中学校、高校が一体になった私立の学校です。
教育理念として、自己決定、個性、体験の尊重を掲げています。

主なカリキュラムは、
・教科書を使わず、主に先生が自作したプリント学習を主体とする基礎学習(かず・ことば)
・「劇団きのくに」(表現)、「工務店」(木工、園芸)、「おもしろ料理店」(食の研究)、「ファーム」(農業)、「クラフト館」(やきもの、木工)の5種類のプロジェクト
です。

詳しくはきのくに子どもの村学園の公式HPをご覧ください。

最高ポイント① 本質的な自由がある

自己決定でカリキュラムの選択をすることができるこの学校は本当の意味で「自由」を体現してます。

「自由」と聞くと、
「やりたくないなら、参加しなくてもいいんだよ」
「学校に来るも来ないも自分で決めてね」
など、放任的なものを想像するかもですが、この学校では違います。

堀さんは言います。
「たくさんの子供を何もない広い部屋に連れてきて、『自由に遊んでいいよ』と言われても、子供にとってこれほど不自由なことはない。放任と自由は全く違う。子供にとって自由とは『やりたいことがたくさんあるなぁ。どれにしよう』と悩み選べる環境にある。」
と。

目から鱗。
まったくもってその通りだと思いませんか?

この学校では「みんなそれぞれやりたいこと選びを一体となって大きなことを成し遂げること」に重きを置いているのです。

堀さんは続けます。
「休んでもらっては困るんです。授業をさぼってもらっても困るんです。だからこの学校の大人は子供たちに興味をもって学習やプロジェクトに参加してもらうために毎日毎日必死で考え、活動を設計してるんです」

子供が決めることは子供自身が責任を取る。という乱雑な思考ではなく、
そこにしっかりと大人をサポーターとしての責任を付けていることが素晴らしいなと思いました。

最高ポイント② 「自立」と「協調」のバランス

きのくに子どもの村学園を訪問すると必ず目にする光景がある。
子供が主体的に見学者に自分のやっている活動を報告したり自慢したり。
こちらから声をかけて無視する子供は一人もいない。全員快く?返答し会話がしっかりと成り立ちます。
そこに僕は「生きる力」の根源を見ました。

「生きる力」=「何かあっても振り子のように立ち直り、いつか前を向いて幸せを感じられる力」

その上で大切なのは2つ「①自立」と「②協調」。
①「僕は大丈夫」「僕はできる」と思える自己肯定感
②多種多様な人と深く関わり、深く繋がり、仲間と呼べるコミュニティを築く力

と考えます。


ところがどっこいで現在の公立校では、
机上の正解を求める活動ばかり。
学年ごとにクラス分けされて、大人と関われるのも担任の先生のみ。
その狭く、多様性の少ないコミュニティで子供時代の多くを過ごすだけでは
①②を育むことは困難です。

では、きのくに子どもの村学園の子供たちはどうか。
まずクラス分けがいわゆる「縦割り」で異年齢の友達で構成されている。
そのため休み時間も異年齢でコミュニティが構成される。
またプロジェクトを通じ Try & errorで日々、自分の頭で考える習慣がある。


きのくに子どもの村学園の中等部を卒業し、公立の高校に進学したある生徒は言う
「高校の授業は簡単だよ。だって覚えるだけでいいんだから」
と。

最高ポイント③ 子どもが対等に大人に意見する

きのくに子どもの村学園では子供の一票も大人の一票も同じ一票として扱われる。
何か一つのことを決めたり、プロジェクトの方針を決めるミーティングでは
子供も大人も一緒になって意見を出し合う。

ある子供が僕たちに教えてくれた。
「あの建物あるやろ。あれな、前まで子供だけで建てた建物が2個あったけど、堀さんが勝手に取り壊して、新しいの建ててん。子供みんなガチギレよ。壊れかけてて危なかったか知らんけど。むかついたわ。」
と。

いかに正当な理由があろうと、この学校では大人が勝手に方向性を決めることはこんなにも
反感を買うのだ笑
客観的に聞きながら、両方の気持ちが分かる僕は、その子に
「じゃあもう一回建てるしかないな」
と伝えた。すると

「もう計画してるよ」
と意地悪い顔をしてグラウンドにかけていくのだった。

なんて素敵な学校なんだろう。


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