プロフィール
荻 洋仁 (おぎちゃん)
ぐるりミライスクール
神戸生まれ、神戸育ち、尼崎在住。現在は一児の父。
神戸大学医学部理学療法学を卒業後、オーストラリアとフィジーに1年間の語学留学と幼児教育ボランティアを経験。帰国後、神戸大学大学院にて親子関係について研究を実施。
日本の子ども達の現場を見てみたいと思い、児童発達支援・放課後等デイサービスに3年間従事。同時にぐるりミライスクール創設初期メンバーへ。
おぎちゃん挨拶
僕は小さい頃から人と違うことをするのが好きな子どもでした。そして人と違うことをしている人を見ると、羨ましくなって、今自分が取り組んでいる活動をほったらかして、様々なことに手を出し、すべてのことが中途半端で終わってしまう、そんな子どもでした。外から見ると活動的で自信満々の僕でしたが、何もかも中途半端に終わってしまう自分が嫌で自信を持てないでいました。そんな自分の何かを変えたくて大学卒業後、オーストラリアとフィジーに半年間ずつ、計1年間の留学に行くことにしました。
しかし、オーストラリアの半年間は本当に情けない日々でした。留学に行くだけで人と違うことをしている自分に満足して、ここでも自分を変えることができず、「自分はいったい何者なんだろう」と自問自答しながら自己嫌悪に陥る日々が続きました。そんな思いのままフィジーという国に渡りました。
フィジーは主観的幸福度が世界で1番高いと言われている国です。「あなた幸せですか?」と聞かれれば、95%の国民が「はい、幸せです。」と答えます。一方で糖尿病の罹患率は世界で最も高い国の一つで肥満の方がかなり多い国。そんな国で僕はある質問をしました。「フィジーではランニングをしている人はほとんど見ないけど、ダイエットをしよう、とか食生活を変えようとかは考えないの?」と。すると大体のフィジー人はこうやって笑いながら答えてくれました。「ひろと、僕らは健康になるために生きてるんじゃないよ。幸せになるために生きてるんだ。健康な体を持つことは生きる上での手段にはなるけど目的にはなり得ない。もっともっと大切なことを自分で選んで生きているんだよ。」と教えてくれました。彼らは生きる上で、「自分」は何が好きで、何に幸せを感じ、何を大切に生きるのかを考え、決断をして生きていたんです。当時周りと比べて、自信を無くしてばかりいた僕にとっては本当に目から鱗で、自分を大きく変える出来事でした。
それから僕は、自分の小さな頃からの過去を振り返り、自分の長所や短所、好きなことや幸せを感じること、そして何を大切にして生きていきたいのかを果てもなく考えながらフィジーで過ごしました。帰国後、徐々に周りと比べることなく人生の軸を大切に生きることができるようになり、自信や心の底から幸せに感じることが増え、本当に豊かに過ごせるように変化していきました。
そんな中、仕事で様々な小中学生と関わる中で、「ぼくなんて、、、」「別にやりたいことなんてないです、、、」と自信なさそうに話す子ども達に出会うことが多く、少し前の自分を見ているようですごく悔しかったです。僕自身は何も特別なものは持っていなくて、偶然フィジーという国に行き、いろんな出会いや経験をたまたまできたことで変わってこれた人生です。もちろん今の学校教育を受けていく中で、強くたくましく生きる力を育める子ども達もたくさんいると思います。一方で、答えがあるペーパーテストを繰り返し取り組んだり、先生に言われたことを忠実に守ったり、過度な規則の中で生活することで、苦しみ、自信を無くし、豊かな幸せを感じることが少ない子ども達もたくさんいるのではないかとも思います。僕が偶然得られた経験をたくさんの子ども達が必然に得られるような、そんな学校を作りたい。そんな思いで「学校を作ろう」と決意しました。全ての人が自分に合った学校を選べる世の中になればいいなと思っています。
そして「ぐるりミライスクール」では、子ども達が主体的に遊び、学び、人と関わり、協働の中で何かにチャレンジする。その過程で、自分が何者なのかを知り、自分が大切にしたいことを理解する。そうすることで、どんな世界でも「強く」「豊かに」生きていける力が育まれると信じて突き進んでいきます。
プロフィール
小田 早希子 (おださん)
ぐるりミライスクール
山口県生まれ、山口県育ち、2児の母。
服飾の専門学校卒業後、東京でファッションデザイナーとして6年勤務後、来阪。
自身が子育てをする中でたくさんの社会課題が増え続ける世の中での教育の在り方に疑問を感じ、学校作りを決意。
ぐるりミライスクール創設初期メンバー
おださん挨拶
教員の免許もなく、特に子どもが好きだったわけでもないわたしがなぜ学校をつくりたい!と思ったのか、それは宿命なのではと思えるほど自然なことだったように思います。
学生のときからのファッションデザイナーになりたいという夢を掴み順風満帆の日々を送っていた20代。33歳で独立し大変なことはたくさんありましたがやりたいことをしている日々は充実感であふれていました。36歳で念願の子どもを授かり翌年2人目の子どもを授かりました。子どもが欲しくて願っていた事だったのに、毎日が戦争で常に孤独との戦い。いつからか「わたしばっかりなんでこんなに」と悲観的になりさらには「産まなければよかった…」とさえ思うようになっていました。
行き詰まりを感じ自分を変えたいと思い、セミナーに行き、いろんな人の話しを聞き、本を読みあさり社会を見渡すと、私みたいに悩むお母さんはもちろん、増え続けている自殺や孤独、貧困、少子化、環境問題、資本主義社会の飽和、などなど。これら全ての原因は教育が問題なのではないかというところにいきつきました。画一的な授業や生徒指導、子どもが失敗しないようにと過干渉になる家庭教育などは、子どものときに養われるべき”利他の心”や”生きる力”などを抜き取っているように思えてなりません。
街を見まわしても子どもが遊ぶ場所はどんどん減り、空き地にさえも入れないように囲われ、子ども達の元気な声は街からすっかり消えてしまっています。全て大人の都合のいいようにしてしまっているこの社会は、子ども達は被害者のように見えてなりません。
未来は今の子どもたちが作るのではなく、今の大人達の行動と思考でつくられます。それを思うと少しでも課題解決する種子をまかなければという想いに突き動かされ、わたしの残りの人生をかけて学校をつくり子ども達の最高の土壌をつくることを決めたのです。
そんなある日、ふらっと入った本屋で出会ったセンスオブワンダーにさらに衝撃を受けまして、自然との共存の意味深さを学び、子どもに必要なのは、教育や指導ではなく、共有し、驚嘆することだと強く確信しました。
子どもの目線はわたしにとって新鮮で発見をたくさんくれる存在です。
子ども達の日々の成長に与えられ、そしてわたしもいつまでも子ども達にギバーな大人であるように、わたし自身が楽しく学び実践者であることを心に決めているのです。
ぐるりミライスクールが子どもたちにとって日常であり特別なものになるように自然体験を通して”生きる力”を養ってほしいと思います。そしてそんな場所がもっとたくさん増える事を願っています。